ティカーニーとヴィカーニー(tykání,vykání)
チェコ語には、ティカーニー(tykání)とヴィカーニー(vykání)があります。
簡単にいうと、ティカーニーは親しい仲で使う言葉で、ヴィカーニーは丁寧語です。
学校で子供たちは、友達とはティカーニーでしゃべり、先生にはヴィカーニーを使います。
私はこの村に引っ越してきて、最初はご近所とヴィカーニーで話していました。
ヴィカーニーからティカーニーに切り替えるタイミングはいつなのか、これはチェコ人でも気になるところのようです。
どちらから、どのタイミングで切り替えるのか、ちょっと繊細なところがあります。
別にずっと丁寧語で話しても困ることはありません。
でも、親しくなってきたなぁというとき、いつまでも丁寧語での会話ではしっくりしません。
挨拶からして、ティカーニーとヴィカーニーでは違うのです。
朝、道ですれ違う時、ティカーニーで
「アホイ」
と言うのと、
ヴィカーニーで
「ドブリーデン」
というのとでは、気分も違います。
仲良くなったなら、親しく「アホイ」と言いたいところです。
このヴィカーニーからティカーニーに切り替える瞬間は、意識的に行われます。
お互いが
「今からティカーニーにしましょうね」
「そうしましょうよ」
のように話して了解して、その時からティカーニーになります。
先日は、長い間ヴィカーニーだったご近所さんとティカーニーになりました。
お家に家族でお邪魔したさいに、乾杯しながら
「今日からティカーニーにしませんか?」
と提案があり、みんなでそうしようということになりました。
私たちより後に引っ越してきた若いご夫婦(私は高齢出産なのでひとり年上状態)ですが、子供たちの年齢はそれほど離れておらず、うちの次男はそこの娘さんといっしょの幼稚園に通っています。
私もやっと、ティカーニーに切り替えることができて良かったと思いました。
よく顔を合わせるママですし、ご近所のほかのママとは既にティカーニーなのに、このママとはヴィカーニーでしたから。
気軽に
「アホイ」
と挨拶できてやっとスッキリです。